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ホルムズ危機でも日本株は強い 原油依存低下で浮上する“AI・半導体経済”の実力

平野 大輔 2026/06/06 13:00

ホルムズ危機でも日本株は強い 原油依存低下で浮上する“AI・半導体経済”の実力

ホルムズ海峡を巡る地政学リスクが再び市場の警戒材料となっている。中東情勢の緊張が高まるたびに、「日本経済はエネルギー危機に直面する」との懸念が浮上する。しかし足元の経済指標や企業業績を詳しく見ると、日本経済の姿はかつてのオイルショック時代とは大きく異なっている。確かに原油やナフサへの依存は依然として残るものの、日本企業の収益構造は大きく変化しており、市場ではむしろ「想定より強い日本経済」が意識され始めている。

象徴的なのが貿易構造の変化だ。かつて日本は大量の原油輸入を前提とした重厚長大型産業が経済を支えていた。しかし現在では半導体製造装置、電子部品、高機能素材といった高付加価値産業が輸出の中心となっている。中東からの原油輸入が大幅に減少しても、経済全体への影響は過去ほど大きくなくなっているとの見方が広がっている。

その代表格が東京エレクトロン(8035)だ。AI向け半導体投資の拡大を背景に好業績が続いており、収益源は原油価格ではなく世界のデジタル投資需要にある。さらにアドバンテスト(6857)やディスコ(6146)も同様で、世界的なAIインフラ投資が業績を押し上げている。

電子部品分野でも強さが目立つ。村田製作所(6981)やTDK(6762)はAIサーバーやEV向け需要を取り込み、世界市場で高い競争力を維持している。これらの企業は原油価格変動の影響を受ける部分はあるものの、企業価値を左右するのは技術力と市場シェアであり、エネルギー価格だけではない。

原油高の影響を直接受けやすい業種も存在する。ENEOSホールディングス(5020)や出光興産(5019)などのエネルギー関連企業は、原油価格や精製マージンの変化によって収益が大きく左右される。石油化学製品の原料となるナフサ価格も依然として重要であり、化学メーカーにとってはコスト上昇リスクが残る。

市場が注目しているのは「原油依存の低下」そのものではなく、日本企業の収益源が多様化した点だ。例えば信越化学工業(4063)は半導体シリコンウエハーで世界トップクラスの地位を持ち、原油市況よりもAIや半導体投資サイクルの影響を強く受ける。日本の製造業は単なる素材供給国から、高付加価値技術を提供する産業構造へ変化している。

防衛やエネルギー安全保障関連への関心も高まっている。三菱重工業(7011)やIHI(7013)は、防衛・エネルギーインフラの両面で恩恵を受ける可能性があり、地政学リスク局面では資金の逃避先として注目されやすい。

今回のホルムズ海峡リスクは、日本経済の弱点を改めて浮き彫りにする一方で、その強さも証明している。原油は依然として重要資源だが、日本株市場を牽引しているのはエネルギー多消費型産業ではなく、AI、半導体、電子部品、高機能素材といった知識集約型産業である。かつてのように「原油が止まれば日本経済が止まる」という構図ではなくなりつつある。

市場は今、エネルギーリスクそのものよりも、その先で成長する企業を見ている。ホルムズ海峡危機が意識される局面だからこそ、日本経済の意外な強さと産業構造の変化が改めて評価される可能性が高まっている。


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